開催プログラム一覧

03d

メインプログラム

鴻池朋子《アースベイビー》 メインプログラム

2009
約 2.2 x 2.5 x 2.2m
鏡、木フレーム、ミクストメディア

[日時]
5/10(水)~5/28(日) 10:00~18:00
※先行展示
※毎週金・土曜日は10:00~20:00
※休館日:毎週火曜日
5/27(土) 10:00~22:00、5/28(日) 10:00~18:00
[日時]
国立新美術館
[日時]
無料
鴻池は、創作活動を始めて間もない頃より、観る者を凝視する印象的な瞳を繰り返し描いてきました。ここでは、神話から抜け出てきたような巨大な赤ん坊が、切迫した表情で何かを見上げ、叫んでいます。表面を覆うガラスの破片は、回転運動の効果ともあいまって、四方八方へと光を乱反射しています。私たちの目は、光がなければ何も見ることができませんが、光に幻惑されてしまっても対象を見失います。創世記では、世界の誕生が光と闇の分離から語られ始めました。古来、地域や文化の違いを超えて光に魅了されてきた人間は、光の魔術的な効果を崇め、ときに権力の象徴として利用してきました。生まれたばかりの赤ん坊の顔には、光を追い求める人間の始原的な感覚と緊張が漲っています。

下に置かれた毛皮は、モンゴルで20 年以上前に害獣駆除された狼の毛皮です。「なめし」という人類最古からある製造技術によって、動物の痕跡がこうして私たちの日常に入ってくることが可能になりました。作家はアースベイビーを設置した後に、まるで何かのバランスを取るように即興でここに狼の毛皮を置きました。

アーティスト情報

鴻池朋子

絵画、彫刻、パフォーマンスなど様々なメディアと、旅によるサイトスペシフィックな表現で芸術の根源的な問い直しを続けている。
近年の個展:2009 年「インタートラベラー 神話と遊ぶ人」東京オペラシティアートギャラリー、鹿児島県霧島アートの森美術館、2016年「根源的暴力」神奈川県民ホール、群馬県立近代美術館/芸術選奨文部科学大臣賞、2018年「Fur Story」Leeds Arts University、「ハンターギャザラー」秋田県立近代美術館、2020年「 ちゅうがえり」アーティゾン美術館/毎日芸術賞受賞、2022年「みる誕生」高松市美術館、静岡県立美術館など。
グループ展:2016年「Temporal Turn」スペンサー美術館・カンザス大学自然史博物館、2017年「Japan-Spirits of Nature」ノルディックアクバラル美術館、2018年「ECHOES FROM THE PAST」シンカ美術館、2022年「Story-makers」シドニー日本文化センターなど。著書に『どうぶつのことば』絵本(羽鳥書店)など。